【インタビュー】いかわデンタルクリニック豊田|骨と歯の健康連携ポータル

【インタビュー】いかわデンタルクリニック豊田

インタビュー

院内フローと医科歯科連携の基盤を構築し、患者様のために、地域のために、パノラマX線画像による骨粗鬆症スクリーニングの取り組みを実践しています。
東京都日野市にて、ライフスタイルやライフステージに合った歯科医療を提案しているいかわデンタルクリニック豊田様に、パノラマX線画像による骨粗鬆症スクリーニングの取り組みをはじめた背景や効果などについて伺いました。

口腔外科とともに骨に関する研究を行うなかで、骨粗鬆症について学ぶ

――パノラマX線画像による骨粗鬆症スクリーニングの取り組みに着目した背景をお聞かせください。

私自身、大学病院時代の口腔外科と整形外科の医局同士の勉強会や、中核病院に勤務する整形外科の先生との勉強会、口腔外科手術、重度の顎骨壊死の臨床経験などを通じ、骨に関する研究を行う機会が数多くありました。また、山梨大学大学院 医学工学総合教育部先進医療科学専攻時は、生体材料である吸収性メッシュに対し、UV照射を用いた骨再生の研究を行い、学位も取得しています。
こうした骨に関するさまざまな研究のなかで、骨粗鬆症についても学び、考える機会が多かったことや、整形外科医と密なコミュニケーションをとってきた経験が、現在、パノラマX線画像による骨粗鬆症のスクリーニングに積極的に取り組んでいる背景になっていると思います。

――パノラマX線画像による骨粗鬆症スクリーニングを知ったきっかけと、取り組みをはじめた理由をお聞かせください。

2024年9月にセミナーを通じて、パノラマX線画像を用いて骨粗鬆症スクリーニングが行えることを知りました。AIを搭載したソフトウェアにより、わずかな手順と時間でリスク評価ができることに感銘を受け、2024年11月から取り組みを開始しました。現在の状況を振り返ると、2024年当時に取り組みをはじめたことは、正解だったと考えています。

院長 井川 浩海

院長 井川 浩海

延べ数百件のパノラマX線画像による骨粗鬆症スクリーニングを実施

――取り組みの状況を教えてください。

女性は40代以上の方、男性は70代以上の方を対象に、初診時に行うパノラマX線画像の撮影と同じタイミングで、骨粗鬆症スクリーニングを行っています。その後は、患者様の歯科治療の状況を鑑みながら、1〜1年半に1回程度の頻度で撮り直すパノラマX線画像に合わせて、骨粗鬆症スクリーニングを実施。これまで、延べ数百件の骨粗鬆症スクリーニングを行っています。

パノラマX線画像による骨粗鬆症スクリーニングには、リスク評価を支援するソフトウェアを活用しているため、難しい作業や多くの手間はかかりません。ですので、そのとき手が空いている歯科衛生士や歯科助手が行います。時間があるときは、私自身が行うこともあります。

リスク評価の結果は、基本的に患者様全員にお伝えしていますが、多くの情報を一度に伝えることで、歯科治療に関わる重要な情報が伝わらなくなってしまう可能性もあるため、年齢や生活状況などを精査しながら、必要に応じて伝えることも意識しています。

患者様に寄り添うことを重視し、希望があれば紹介状を書く

――リスク評価で重度異常の評価が出た患者様には、どういった対応をされているのでしょうか。

パノラマX線画像による骨粗鬆症スクリーニングのリスク評価は、あくまでスクリーニングであり、確定するものではありません。そこで当院では、重度異常の評価が出た患者様に、ご本人やご家族の病歴、服薬状況などをヒアリングし、精査したうえで、今後、患者様に起こり得る状況を想定しながら、「一度検査を受けられた方が安心かもしれませんね」といった、強制ではない伝え方をしています。

必要であれば、連携する整形外科のパンフレットもお渡しします。そのうえで、患者様ご自身で考えていただき、希望があれば紹介状を書く流れとなっています。何よりも、患者様に寄り添うことを重視して対応している状況です。

取り組みのモチベーションは、患者様や地域に届けたい3つの想い

――通常の歯科治療に加え、パノラマX線画像による骨粗鬆症スクリーニングにも取り組むモチベーションはどこからきているのでしょうか。

大きくは3つの想いがあります。1つ目は、患者様に最先端医療を提供したいという想いです。そのために当院では、大学病院と同等レベルの歯科用CTレントゲンやマイクロスコープ、口腔外バキュームなどを導入。パノラマX線画像による骨粗鬆症スクリーニングも、そうした最先端医療の取り組みの一環となります。
2つ目は、患者様に合わせた治療を提案したいという想いです。冒頭で申し上げた通り、これまで歯科口腔外科の分野において研さんを積み、さまざまなライフステージの患者様と接してきたことで、当院では虫歯から顎の不調まで、さまざまな症状への対応が可能です。こうした経験や知見は患者様のために活用すべきだと考え、パノラマX線画像による骨粗鬆症スクリーニングにも取り組んでいます。
3つ目は、地域医療において、歯科医療の価値と歯や骨(歯周病)を含む口腔内の健康観を高める取り組みを行っていきたいという想いです。これに関しては、愛知県で積極的に地域医療連携に取り組んでおられる先生の取り組みを勉強させていただいたことが後押しとなりました。その先生は、骨粗鬆症スクリーニングによる医科歯科連携へも積極的に取り組んでおられますから、パノラマX線画像による骨粗鬆症スクリーニング、医科歯科連携についても参考にさせていただきました。

同院に勤務する歯科衛生士

同院に勤務する歯科衛生士

2つの整形外科と双方向の医科歯科連携を実現

――おっしゃるように、パノラマX線画像による骨粗鬆症スクリーニングは医科歯科連携が重要になると思いますが、現在の状況はいかがでしょうか。

現在、医科歯科連携している整形外科は2つあります。どちらも当院からご挨拶させていただきました。1軒目は、当院と開業のタイミングなどのステージが近く、地域に根差した医療提供を目指している整形外科で、非常に頼りになる先生がいらっしゃいます。お互いの医院の待合室にパンフレットを置くなど、協力体制も万全です。その整形外科からも紹介があるため、現在は専用の予約枠も設置しています。

2軒目は、豊田駅から徒歩圏内の整形外科です。こちらはベテランの先生ですが、地域に根差しているという点では一緒です。日野駅から徒歩圏内を希望されている患者様には、こちらの整形外科をご紹介しています。ほかに、日野市内で骨密度を精密に測定できるDEXA(Dual-energy X-ray Absorptiometry)装置を所有している整形外科には、ご挨拶に行きたいと考えています。

今でこそ、こうした双方向の医科歯科連携ができていますが、以前は骨粗鬆症の治療を開始する前の歯周病精査や、顎骨壊死を防ぐための適切な予防処置の依頼など、整形外科から歯科への一方通行だけでした。実際、そうした依頼に当院も対応してきたわけですが、当院がパノラマX線画像による骨粗鬆症スクリーニングの取り組みを始めたことで、歯科から整形外科への連携が可能になります。今後は、双方向の医科歯科連携を通じて、地域OLS(Osteoporosis Liaison Service: 骨粗鬆症リエゾンサービス)活動が活発化していくのではないかと期待しています。

AIソフトウェアでのスクリーニングの画面

AIソフトウェアでのスクリーニングの画面

 

多くのメリットや変化を体感

――パノラマX線画像による骨粗鬆症スクリーニングの取り組みを導入されてから、具体的にどのようなメリットや変化を感じていますか。

院内外において、大きく4つの効果と変化を実感しています。

1つ目は、歯科検診の価値向上と患者様への付加価値の提供です。「骨粗鬆症の怖さはよく理解しているが、整形外科を受診するタイミングが分からない」という患者様は少なくありません。そのため、普段の歯科検診の場で骨粗鬆症のリスクをチェックできることが安心感に繋がり、歯科検診そのものの質と重要性が大きく高まりました。

2つ目は、医科と歯科の双方にメリットのある医科歯科連携と地域での認知拡大です。以前は「どの歯科医院へ送るべきか分からない」という整形外科側の課題を伺っていましたが、歯科からの積極的な働きかけにより双方向の連携が確立されました。連携先の医院様の待合室に当院の案内を設置していただくことで地域での認知が高まり、患者様のご家族が新たに歯科検診で来院されるといった広がりも生まれています。

3つ目は、パノラマX線画像の価値向上と患者様の撮影協力です。通常のレントゲン撮影に骨のリスクチェックという価値が加わったことで画像データの情報価値が上がり、患者様にも説明に十分ご納得いただいた上で、とても前向きに撮影に応じてもらえるようになりました。

4つ目は、スタッフの意識向上とやりがいの醸成です。歯科衛生士をはじめとするスタッフが、医科との連携や患者様の全身健康維持に直接貢献できている実感を抱くようになり、日々の業務や検査に対する姿勢がよりポジティブに変わったことも大きな収穫だと感じています。

患者様のために、地域のために、覚悟を持って取り組みを行っていく

――これまでのパノラマX線画像による骨粗鬆症スクリーニングおよび医科歯科連携の経験を踏まえ、取り組むうえで大事なことがあればお聞かせください。

もっとも大事なことは、スタッフである歯科衛生士・歯科助手の協力を得ながら、院内連携を構築することです。そもそもこの取り組みは、1人では限界があります。歯科医師が情熱を持って取り組んだ結果、オーバーワークで体を壊してしまっては元も子もありません。大事なのは「持続可能な形で進めていくこと」だと認識しています。そのために欠かせないのは、院内のスタッフを巻き込んで取り組むことだと考えています。

当院では、協力を得るために院内への周知を行いました。朝礼やSNSのチャットグループなどを通じ、例えば「虫歯・歯周病のほか、口腔機能低下症や口腔機能発達不全症などにも国は力を入れ始めています。当院はそうした取り組みの一環として、パノラマX線画像による骨粗鬆症スクリーニングにも注力していきます」といった言葉を発信しました。さらに、取り組みの意味も発信し、スタッフ一人ひとりに響くように伝えてきました。

当院では幸いにも、スタッフの理解を得ることができました。しかも、歯科医療とは別の形で患者様の健康に役立つ経験をすることで、スタッフのなかに新たなやりがいが生まれつつあると感じています。

歯科衛生士を目指す学生にも、パノラマX線画像による骨粗鬆症スクリーニングの機会を提供

――最後に、いかわデンタルクリニック豊田における今後の取り組み、骨粗鬆症に対する取り組みなどがございましたらお聞かせください。

2025年11月開催の「日本歯科衛生士学会第20回学術大会」で私自身が登壇させていただいた講演をきっかけに、日野市内の東邦歯科医療専門学校からお声がけいただき、当院は連携医療機関となりました。これにともない、日野市および地域における歯科衛生士の養成・人材育成に貢献するため、当院は歯科衛生士を目指す学生の臨床実習の受け入れを行います。実習期間中は、歯科衛生士を目指す学生が当院スタッフの指導のもと、歯科医療の現場を通じて必要な知識・技術、患者様とのコミュニケーションなどについて学んでいくことになると思います。

その際、学生はパノラマX線画像による骨粗鬆症スクリーニングや医科歯科連携の取り組みにも携わることになります。この取り組みは学校で学べるものではないので、学生にとっては貴重な体験になるでしょう。インターンシップの段階で触れることのできる最新の取り組みとして、学生の皆さんに知識・技術のひとつとして持ち帰ってもらえると、当院としてもうれしく思います。

・医院プロフィール
クリニック外観
いかわデンタルクリニック豊田
所在地:〒191-0062 東京都日野市多摩平1-3-5 豊田ダイカンプラザ1F
2022年開業。「病気を予防することが何よりも大切」との信念のもと、歯の寿命をのばすことを第一に考え、予防および診断に重点を置き、患者の負担を軽減するデジタル機器を使用した歯科治療を提供。患者の不安を軽減するため、治療説明にも注力。診療項目は一般歯科、ブルーラジカル(歯周病治療)、歯科口腔外科、インプラント、審美治療、矯正歯科、小児歯科、予防歯科、ホワイトニング。

院長 井川 浩海
院長 医学博士 井川 浩海
2012年 日本歯科大学歯学部卒業、日本歯科大学附属病院 臨床研修医、2013年 山梨大学大学院 医学工学総合教育部 先進医療科学専攻、山梨大学医学部附属病院 歯科口腔外科・口腔インプラント治療センター勤務、2016年日本口腔外科学会認定医取得、2017年山梨大学大学院 医学工学総合教育部 先進医療科学専攻修了 医学博士(Ph.D.)取得、2018年医療法人社団ルークズスマイル 山中デンタルクリニック浜田山インプラントオフィス勤務
 

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