第28回 日本骨粗鬆症学会 ランチョンセミナー22|骨と歯の健康連携ポータル

第28回 日本骨粗鬆症学会 ランチョンセミナー22

セミナー

 
 

1988年広島大学歯学部卒。1996年ワシントン大客員教授、2008年より現職。

日本骨粗鬆症学会評議員・国際委員、日本歯科放射線学会理事、国際顎骨壊死タスクフォース日本代表、アジア骨粗鬆症学会連盟日本代表評議員、その他

 

 超高齢社会において、健康寿命の延伸を左右する脆弱性骨折の予防は、医療・行政双方にとって重要な課題である。広島県呉地区では2014年より、医師会、歯科医師会、薬剤師会、行政が一体となり「骨吸収抑制薬関連顎骨壊死(MRONJ)予防診療ネットワーク」および「呉市骨粗しょう症重症化予防プロジェクト」を構築してきた。当地区における連携の核心は、医科で骨吸収抑制薬(antiresorptive agents: ARA)等による治療を開始する際、事前に歯科へ紹介し口腔管理を徹底することでMRONJを予防する仕組みにある。また、歯科の日常診療におけるパノラマX線画像を活用し、骨粗鬆症が疑われる患者を抽出して医科へ繋ぐスクリーニング体制も並行して実践している。

 MRONJ予防のフローにおいて最も重要なことは、歯科側がMRONJのリスクを過剰に危惧するあまり、本来優先されるべき骨粗鬆症治療を否定したり、不必要な休薬・治療中断を求めたりすることがあってはならないという点である。すなわち、歯科治療を理由に骨粗鬆症治療が阻害される事態は、断じて避けなければならない。骨折予防と口腔機能維持は、患者のQOL維持の両輪として共存すべきものである。当地区では多職種勉強会等を通じて、診療科の垣根を越えた議論を重ね、科学的根拠に基づいた共通認識の醸成を図ってきた。

 さらに、当院での近年の取り組みとして、パノラマX線画像のAI解析ソフトウェアを導入している。これは歯科医師の読影を支援するにとどまらず、診療放射線技師や歯科衛生士がAI解析結果をもとに骨粗鬆症の疑いを歯科医師へ確実に報告する体制としても機能している。

 このように、歯科医師以外の職種もスクリーニングに関与し、チーム内で情報を共有する仕組みは、見落としを防ぎ、適切な医科紹介へと繋げるための有効な一助となっている。真の連携推進には、単なる紹介状のやり取りを超え、医科歯科双方が互いの治療の重要性を理解し、常に「患者の骨折予防」を最優先とする共通認識を持つことが不可欠である。本セミナーでは、呉地区における10年にわたる実践を振り返り、本邦における医歯薬連携の障壁と、それを乗り越えるために必要な要件について考察したい。

 

 

 薬剤関連顎骨壊死に関するポジションペーパーが2023年に改訂された。おかげで骨粗鬆症治療薬投与が以前よりもスムースになったと感じることも多い。一方で、当時は抜歯時に問題になることが多かった骨粗鬆症治療薬の使い控えやいつのまにかの休薬が、最近では歯科インプラントに対してまで波及してきている地域もあると聞く。患者―医療者、医療者間でも医科―歯科―薬剤師だけでなく看護師、受付など多くの職種にまたいで、患者から質問されたりするので相互間連携の必要性を感じることも多い。インフォームドコンセント、コミュニケーションをしっかりと構築する必要がある。そのためには、まず、紹介状(連携用紙)を作成することが第一歩である。いくつか定型文を用意して、チェック項目などを簡便にすることがポイントである。
 広島県呉市は人口約20万で高齢化率36%の地方中規模都市である。医師・歯科医師薬剤師、看護師、放射線技師、理学療法士、栄養士、歯科衛生士などの医療スタッフ、医師会・歯科医師会・薬剤師会・行政などの多職種が連携し、骨粗鬆症関連疾患の予防、疫学調査を目的とした住民参加型研究「KureDREAMS」(Kure Data based Results and Evidence Assisted by Multi-profession Study)を行っている。行政の協力により国民保険・後期高齢者保険のレセプトデータベースを利用している。2015年に顎骨壊死(ONJ)の登録システムを構築し、20164月から20213月にかけて呉市内の3つの中核病院で対象となるONJ患者103名を連続登録した。ビスホスホネート製剤、デノスマブ製剤の使用数について経年的に調査した。さらに、2015年から大腿骨近位部骨折や臨床椎体骨折の発生を調査した。がん患者の薬剤関連ONJMRONJ)は千人あたり25.5人、骨粗鬆症患者のMRONJは千人あたり1.37人、抗骨吸収剤を含まないONJは千人あたり0.054人であった。2015年のデータでは大腿骨近位部骨折は千人あたり男性3.55人・女性7.29人、臨床椎体骨折は男性13.0人、女性21.2人であった。2017年以降は臨床椎体骨折の減少に追随する形で大腿骨近位部骨折も減少した。
 日本国内、多くの地区で遭遇しているであろう現状の課題について考察する。
 
申込はこちら >

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※フードロス削減のため事前申込を行っています。 ご希望の方は事前にお申込みをお願いいたします。
※本セミナーへの事前申込及び参加は、第28回日本骨粗鬆症学会への参加登録が必要となります。
※各セミナー事前受付人数の上限に達し次第受付は終了といたします。
※詳しくは、オフィシャルサイトをご確認ください。

日本整形外科学会教育研修会の単位が取得可能です。

【認定単位】日本整形外科学会 教育研修単位(N)1単位

【必須分野】[4] 代謝性骨疾患(骨粗鬆症を含む)

※必須分野は7月時点での認定予定分野のため、確定内容および単位の申込方法等の詳細はオフィシャルサイトよりご確認ください。

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